マイナンバーの取り扱い方

マイナンバーの取り扱いについては、「マイナンバー法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律)」で、規定されています。
このページでは、この法律に基づいて、企業が気を付けなければいけない点・やらなければならないことを、できる限りシンプルにお伝えします。

マイナンバー法と個人情報保護法

マイナンバーは個人情報の一部ですが、個人情報保護法の他に、マイナンバー法の適用を受けています。
例えば、個人情報は生きている方の情報ですが、亡くなった方のマイナンバーはマイナンバー法の適用によって保護されるなど、個人情報保護法でカバーしきれない部分をカバーしています。
そのため、企業でも、そのほかの個人情報以上の取り扱いルールを求められています。

企業がなぜマイナンバーを取り扱わなければならないのか?

マイナンバーは、個人ひとりひとりに割り当てられた番号で、その番号により社会保障や行政手続きを遠隔に、正確に行うためのものです。
会社は社会保険や税金の手続きを、一部従業員に代わって行う義務があります。例えば、厚生年金、健康保険の加入や掛け金の納付、年末調整・住民税の特別徴収などです。
そのため、従業員や扶養家族のマイナンバーを預かり、利用すべき時のみに利用する必要があります。
実際に、2017年年末に行われた年末調整、2017年度の給与支払報告書、2018年5月からの雇用保険の手続きには、マイナンバーの記載が必須となっています。また、厚生年金の手続きについては、年金番号の代わりにマイナンバーを使うことができるようになりました。つまり、入社時にマイナンバーを集めれば、年金番号は必要ないということですね。
ちなみに、マイナンバーを記載しない場合は手続きが行えなかったり、後回しにされて遅くなったりする可能性があるようです。

マイナンバーの収集

まだマイナンバーを預かっていない従業員や入社した従業員からは、マイナンバーを収集します。
マイナンバーの収集をするとき、やらなくてはならないことが3つあります。

  1. 利用目的の明示
  2. 番号確認
  3. 本人確認

1.利用目的の明示

収集するときは、会社が利用する目的を明示する必要があります。
例えば、こんな風に利用目的を列記して本人に配布したり、就業規則に載せて周知したりするとよいです。

2.番号確認

本人からメモをもらったり口頭で教えてもらうのでは、番号が本当にあっているのかわかりません。
そのため、本人の番号がわかるもののコピーを提出してもらいます。
本人の番号が記載されている公的な書類は3つです。いずれかの書類のコピーを提出してもらいましょう。

  • マイナンバーカードの裏
  • 通知カード
  • マイナンバー記載の、住民票記載事項証明書

3.本人確認

今まで、入社時に本人確認は行っていましたか?会社のために住民票の写しの提出や身分証明書の提出を求めている会社は多いと思いますが、義務ではありません。
(違う人と偽って入社し、健康保険証などを作成することも、今まではできたんですね・・・恐ろしい。)
そのため、その番号が本当に本人のものなのか?会社は確認する義務ができました。
マイナンバーと一緒に、写真付きの公的な証明書(運転免許証・パスポート・マイナンバーカードの表など)のコピーを提出してもらい、間違いなく本人のマイナンバーであることを確認してください。

マイナンバー収集

弊社ではマイナンバーの収集代行を行っています。顧問先様には、その時に使っている収集キットを配布しております。

弊社に依頼しなくても、この流れで行えば法律通りに簡単にマイナンバーを収集・管理することができます。

マイナンバーの管理

マイナンバーは、担当以外の方の目に触れないように管理する義務があります。
そのため、次のことを決めておきましょう。

  • 管理する担当者:人事・経理担当者など。給与計算・労務事務を行っている人になります。
  • 管理する責任者:人事部長や代表者など、担当者の責任者が行うのが良いでしょう。
  • 管理する場所:紙で保管するなら鍵付きのキャビネット、データ保管なら担当者と責任者(以下取り扱い者といいます)以外が閲覧できない場所を保管場所に決めて、他にはおかないようにします。
  • 管理簿:いつだれが何をしたのかを控えた管理簿を作りましょう。

マイナンバー管理ソフトなどを使うと、登録した担当者のみがアクセスでき、担当者のログを記録してくれるため、楽に管理することができます。また、マイナンバー管理は外部委託が可能です。自社では何もやりたくないという場合は外部委託してしまうのも良いと思います。(弊社でもマイナンバー収集・管理の代行を行っています。)

マイナンバーの利用・外部委託

マイナンバーの利用目的に沿って、マイナンバーを利用します。社会保険や税金の諸手続きにしか利用できませんので、担当は自然に決まってくると思いますが、我々社会保険労務士や、税理士さん会計士さんに提出することもあるでしょう。
マイナンバーの利用に関する事務は外部委託することができますが、会社には監督責任があります。どのように管理しているのか、管理の再委託は行われているのか・行われている場合はどのような体制かを把握しておきましょう。

マイナンバーの破棄

不要なマイナンバーは速やかに破棄する必要があります。
マイナンバーの管理簿は、退職後速やかに破棄することをお勧めします。
また、マイナンバーを記載した書類は、その書類の保管期限が来たらすぐに破棄するようにしましょう。
マイナンバーを記載する必要のある書類の主な保存期間は下記のようになっています。

  • 雇用保険関係:4年
  • 健康保険・厚生年金関係:2年
  • 源泉徴収票などの税金関係:7年
  • 住民税の、特別徴収税額決定通知書:特に決まりなし

マイナンバー法の観点からいえば、特別徴収の決定通知書は、住民税だけ転記したらすぐ破棄、
雇用保険、社会保険、年末調整関連で3つのファイルを作成し、時系列に綴じておき、年末か年始に保管期間を過ぎた部分は破棄・という取り扱いが理想かと思います。
いままで捨て時がわからずに保管されているものも多いと思いますので、整理整頓を進める機会にもなりそうですね。

なお、社会保険関係は、控え書類にマイナンバーの記載はありません。
マイナンバーを記載した提出書類を保管しておかなければ、あまり神経質にならなくても大丈夫です。
税金関係は、保管義務のある書類にマイナンバーが記載されていますので注意してください。

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